「共生社会」の意味
1.2006年12月2日 開催された「東洋大学共生思想研究センター第1回シンポジューム」
“共生思想の可能性を探る”の発表要旨集の中において、次のような発表がなされている。
http://kyosei.toyo.ac.jp/data/200612kyosei_abstract.pdf
「共生社会の人々一生きることの悲しみを如何に受けとめるか」
吉田公平(東洋大学文学部教授)
①共生社会とは、自分だけではなく、他者と共に生延びること、或いは生延びられる社会をいう。
その他者とは、自分に都合の良い、味方だけではない。
「嫌なやつ」「敵対者」、自分を殺しに来るかも知れないものとも、「共に生のびる」社会。
②共生社会の構成員は、自分自身のこと、或いは共生社会の役割や期待されていることを、
自主的に自力で実践することができる、健常者だけではない。
弱者・障害者・その予備軍も構成員。最初から競争の場に参加できない、参加するか否かの意志を表明するこ
とさえできない、ましてや成果を挙げることなどできない、そのような人たちをも、人間として生きることが
承認され、支援体制が組み込まれた社会。
(『論語』「不責備」)
③社会的に「有意義」な貢献をしない、或いはできなくなった者でも、人間としての尊厳性を持って生きること
を、積極的に承認されていない、或いは制度として補償されていない社会は、共生社会とは言えない。
(銕捨・遍路)
④今、たまたま健常者であっても、誰もが常に弱者・障害者になる可能性がある。
高齢になれば、身体機能は低下し、支援が必要となる。
万人が弱者・高齢者・非生産者の予備軍である。
そのようになったときには、胸を張って、生存権を主張できない社会だと、健常者の状態を維持できていると
きでも、根本的な不安から解放されない、不幸な、社会である。
(荘子・程明道・王陽明などの万物一体論)
⑤盤珪禅師(1622-1693)。播州播磨の人。朱子の『大学章句』の「明徳」理解に難渋し、その果てに
「仏心不生」に開眼。不生禅の提唱。
誰もが誕生時に父母から仏性を生みつけられているので、皆が「あるがままで完全である」ことを生仏・活如
来と称して、自分か仏心不生に改悟する苦難をせずともよいようにと、布教活動に専念した。
⑥本来完全という人間理解を現在する万人に適用した点は、王陽明の良知現成論、中江藤樹の心学と共通する。
⑦障害者・弱者などを一切差別しない。万人があるがままで存在してよいという提唱が当時の差別(性別・身
分・身体障害)された人々に生きる元気を呼び起こした。
⑧「身体は健康で、物質的に豊かで、心理的には平安な生活」が幸福な生活の基礎条件?。
⑨何もかも満たされることを期待するのは僣越傲慢。
資本主義・商業主義・新自由主義を如何に対処するか。
⑩死を目ざして生きるとは、悲しみを噛みしめること。諦らめること。明らめること。
共生社会とは「悲しみを分け合い、悲しみを噛みしめる」「愛(かな)しみの共同体」である。
2. 「平成20年版 高齢社会白書」 の中で「共生社会」の仕事と生活の調和に言及
- 第3節 高齢社会における仕事と生活の調和
(高齢者との共生)
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1)憲章と行動指針
- ○ 平成19年12月18日に、関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等からなる
- 「仕事と生活の調和推進官民トップ会議」において、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」(以下、憲章)及び「仕事と生活の調和推進のための行動指針」(以下、行動指針)が策定された。
- ○ 憲章では、仕事と生活の調和が実現した社会を「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じ
- ながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年齢期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義している。具体的には、就労による経済的自立が可能な社会、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、多様な働き方・生き方が選択できる社会としている。この社会を実現させるために、主な関係者(企業と働く者、国民、国、地方公共団体。)の役割を定め、行動指針においては企業や働く者、国民の効果的な取組、国や地方公共団体の施策の方針を定めている。
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2) 世代を通じた仕事と生活の調和
- ○ 少子高齢化に伴い、労働力人口は減少し、今後もさらに減少すると予想されている。しか
- し、60歳後半で就業を希望しているにもかかわらず働けていない者が、男性で21.0%、女性で18.3%を占めており、働く意欲がありながら就労できていない者がいまだに多く存在している。今後、労働力の確保がより一層難しくなると考えられる状況では、育児世代や働き盛り世代等が働きすぎで仕事以外の時間を持つことが困難である状況はより厳しいものとなると考えられる。働く意欲がある高齢者が働くことができず、若い世代が働きすぎで仕事以外の時間を持つことが困難である状況を改善するためには、「世代を通じた仕事と生活の調和」の実現が必要である。
- ○ 高齢者の実態は「支えられる人」というイメージから乖離してきているにもかかわらず、依
- 然として高齢者=支えられる人という固定観念が変わっていない。そのことが高齢者のマンパワーの活用の隘路になっている。今後、高齢者の意欲をいかし、さらに社会の各方面での活躍の場を広げていくためには、固定観念にとらわれることなく、実態に即して、国民の意識を改革していくことが喫緊の課題である。
- ○ 高齢者は一律に仕事に必要な能力や体力を持たないという先入観を転換していくことが必要
- であり、高齢者を一律にとらえるのではなく、体力や意欲、本人の希望など多様化するニーズにあわせ就業形態、就業日数・時間などについて柔軟な働き方のメニューを検討し、用意していく必要がある。また、ハローワーク等を活用した高齢者の再就職等の促進やシルバー人材センターの活用促進を推進することに加えて、企業や労働者の多様な働き方の普及や自己啓発、能力開発などを積極的に支援していくことが求められる。
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3)個人の人生の中での仕事と生活の調和
- ○ これまで職場での人間形成が中心であったために、退職後に地域活動に参加しようと思って
- も、「地域デビュー」が実現できず、関心や興味があるのにもかかわらず、実現できていない状況にある。また、高齢者のみの世帯も増加しており、孤立死などが社会的な問題となっている。これは、特に都市部では、退職期に職場から地域へ生活の場の移行がうまくいかずに、地域とのつながりが築けずに地域から孤立してしまうことも多いこともその一因である。能力開発・自己啓発が進んでいない背景としては、個々人が能力開発や自己啓発を行いやすい環境が整っておらず、自己啓発の問題点として、忙しくて余裕がない、費用がかかりすぎる、休暇取得・早退等の業務の都合でできないことを挙げる人が多い。また、高齢期に健康に過ごすための準備も十分でない。
- ○ 実際には仕事のための能力開発や自己啓発は十分に取り組まれているとはいえない。その背
- 景としては、忙しくて自己啓発の余裕がない、費用がかかりすぎる、業務の都合など、個々人が能力開発や自己啓発を行いやすい環境が整っていないため、自己の将来に向けた投資をするといった、「ライフ」に目を向けることが十分にできていないことが課題としてあげられる。また、健康で長生きするための備えとして、若い頃からの健康管理、健康づくりが必要であるが、その重要性が十分に認識されていないこともあり、実行になかなか結びつかない現実がある。若い時期に「ワーク」の比重が大きいため、自己の能力開発や地域参加等のライフに目を向けることができず、高齢期において望ましい仕事と生活の調和を実現するための準備が不十分であるといえる。
- ○ 健康で自立した高齢期を送るためには、若い時期から高齢期まで自分の人生全体を見渡し
- ての「仕事と生活の調和」を考えることが重要である。現役時代には、とかくワークの比重が大きくなりがちであるが、若い時期から、それぞれが高齢期を見据えたプランを立て、自己啓発や健康づくりに取り組めるような仕事と生活の調和の実現が必要である。一定の年齢や退職年齢の一定期間前になったときに、高齢期の人生プランを考えるために一定期間の休暇が取れるような制度を導入し、実際に利用しやすい職場風土づくりに取り組むなど企業としても支援していくことが求められる。
- 元気な高齢者がそれぞれの意欲や能力に応じて地域活動への参加を実現することは、やりがいを感じながら自身の望む高齢期を送ることができるのみならず、増加する支えを必要とする高齢者に対して元気な高齢者が支えを必要とする高齢者を支える「高齢者同士の支えあい」といった、新しい支え合いの連帯を構築することも期待できる。
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4)おわりに
- ○ 「団塊の世代」が退職期を迎えはじめた。
- 「団塊の世代」がいっせいに退職期を迎え、労働市場から完全に撤退をしてしまうと、急激な労働力の減少となり、働き過ぎの若い世代への負担が急激に増えることが予想される。意欲や能力のあり、まだまだ働きたいと考える「団塊の世代」のワークへの意欲を活かすことによる、「世代間の仕事と生活の調和」の実現するための環境づくりが一層求められる。
- 「団塊の世代」は高学歴化、サラリーマン化、都市化の象徴である。そんな団塊の世代が、退職を契機として生活の中心を職場から地域に移す。
- これは「団塊の世代」というマスとして、数々社会変化の原動力となってきた人たちが、ワークとライフのバランスのあり方を見つめ直し、高齢期の生活の多様な可能性を追求する絶好の機会でもある。
- 常に新しいライフスタイルの先駆者であった「団塊の世代」が高齢期の仕事と生活の調和をどのように実現していくのかに注目したい。
3. 「障害者施策」 重点施策実施5か年計画 (平成20年度~24年度)参照
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/5sinchoku/h19/5year_plan.pdf
-
~障害の有無にかかわらず国民誰もが互いに支え合い、共に生きる社会へのさらなる取組~
- (抜粋)(障害者との共生)
4.
共生社会の意味とは、「障害者の重点施策5カ年計画」の中で次のように語られている。
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「共生社会」は、
障害の有無にかかわらず、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合う社会であるとともに、障害者が社会の対等な構成員として人権を尊重され、自己選択と自己決定の下に社会のあらゆる活動に参加、参画し、その一員として
責任を分担する社会である。
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