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「共に耀いて生きる」
アイリス泉 代表 森山晏子
平成10年10月29日 横浜市泉区リハビリ講演会
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- (自己紹介) ただいま、ご紹介を頂いた「アイリス泉」の森山晏子です。
- 相鉄いずみの駅の近くに住んでいます。
←1.私と介護について→
1. 私と介護について
- 私が介護者と言われる立場になったのは、20年前に義父を看取った折り、そして14年前、主人が脳梗塞で倒れて、右手足に麻痺が残り、2級障害者になった時以来です。

- 倒れたのが56歳で定年延長になって1年目でしたから、二人の娘も社会人になり、小さいながら家もありましたので、社会的責任は一応終えた時期でもありました。
- しかし、二人の娘の将来を考えたり、これから先どんなに過ごして行けば良いのか、今までとは、全然異なった世界に踏み込んでしまったので、丁度、真っ暗闇の中を手探りで歩いているような気がしました。

- 最初は、どうにかして元気になってもらおうと、張り切って手足を動かしたり、歩行訓練について行ったりしていましたが、その内に私の体が思う様に動かなくなりました。
- そのころです。保健婦さんが玄関の戸を少し開いて、「リハビリ教室に出ていらっしゃいませんか」と、声を掛けてくれました。
- その後も2~3度訪ねて下さって、主人もやっと腰を上げ、「一度だけ行って見よう」と「ほのぼの会」に出かけました。
- その後、何度か、私もついていきましたが、ある日、「3時までお預かりします。少し休んだらどうですか。疲れているようですよ」と云われ、2時間ほど家でボンヤリして時を過ごしました。
- 後日、家の塗装工事に来た職人さんが「奥さん、お姑さんが一緒だったでしょう」と言いながら言葉を継いで「とても厳しい方でしたね。ご苦労されたでしょう。それに今度はご主人と大変ですね」と申します。
- 「ええ」と相づちを打ちながら、「母を知っていたの」と問うと、「2年位前に玄関口でピシャリと断られ、とても怖かったことがある。白髪頭だったからきっとお姑さんだったと思うよ」と言います。

- 姑とは一緒に住んでいましたが、その数年前に亡くなっています。
- それにとても物静かな人でしたから「可笑しいな」と思いました。
- 工事が済んだ後で、ゆっくり考えてみると、その恐ろしい老婆とは、当時の私の姿だったのです。
- こうして、「ほのぼの会」に出席した主人は、その中で色々なことに気づき、学び、もう少し皆様といたいと、自主活動を始めたばかりの泉睦会に入って以来、約10年間、その大事な事務局長を務めました。
- 今は、更に片マヒ自立研究会を主宰して、研究テーマを絞って会員が報告しあったり、その成果を研究資料として編集の上、印刷物にして配付したり、全国の方々から寄せられる様々なご相談にお応えしたり、全国の各地に出かけて講演をさせていただいております。
- これもあの時、家の中に閉じこもるのではなく、保健婦さんに導かれて外へ出かけたのがきっかけでした。
- 矢張り社会とのつながりの中で生きることの重要性を感じます。
- 又、私にとっても、この2時間はとても貴重な2時間でした。
- 長く介護者として生きる為には、自分も大事にして倒れないように、先ず、「家族のリハビリ」をしなければならないと自覚したのです。今でも、このきっかけを作って下さった保健婦さんは、「天使だった」と思っています。
←2.サポート事業との関わり→
2. サポート事業との関わり
- 平成8年になった頃には、孫も大きくなって、娘たちもそれぞれの道を歩み、少し私たちにもゆっくりとした時間が持てるようになりました。
- 初夏の頃だったと思います。福祉保健サービス課からお電話を頂き、保健婦さんが見えて、「介護者サポートの事業で、『介護ってなあに』という介護者の会をしているので、話に来て欲しい」と、頼まれました。
- ちょっとためらいましたが、一人で思い悩んだ日のことを思い出し、何か私の経験が皆様のお役に立つかも知れない、と思ってお受けしました。
←3. 「アイリス泉」について→
3. 「アイリス泉」について
- ここで話題を転じて「アイリス泉」の紹介をさせていただきます。この名前は参加者よりの公募で平成10年から使っております。
- 「アイリス」は皆様ご存知のように泉区の花「あやめ」に似た花ですが、原語はギリシャ語で「虹の女神」だそうです。介護をする方の健康を気遣って3年前から、福祉保健サービス課が始められた介護者サポート事業です。
←4. 「アイリス泉」の活動の概況→
4. 「アイリス泉」の活動の概況
- 毎月、第2火曜日の午後1時から3時までの2時間集ります。
- 何時もは20名位、特別な催しがある時は30~40名の参加者があります。
- 平成8年度の延べ参加人員は158名、9年度は227名と次第に増えてきております。
- 参加者の中から世話人5名と、保健サービス課の方にも入っていただいて運営しております。
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←5. 話し合い→
5. 話し合い
- 「手抜き息抜きらくらく介護」とか「私、困ってます」と言うキャッチフレーズで現在抱えている問題、困っていること等を皆で話しあって、良い解決法がないか皆でアイディアを出し合ったりしています。
- これまでに話し合いの中心になった大きな話題としては、介護に直接関わる問題で、
- ・ 少しも目が離せない状態なのでストレスが溜まる。
- ・ 息抜きしようと思っても、本人が福祉施設を利用したがらず、利用していない。
- ・ 食欲のない老人の食事とか、毎日の食事に関わる問題。
- ・ 介護者が倒れた時にはどうするか、と言う心配。
- ・ 災害が起きたときに、寝たきりの人をどうすれば良いか。
- ・ 又、思春期の子供さんを抱える方の場合、子供さんと、介護している親との板挟み
- そんな悩みに対して会員から
- ・「お母さんがご両親のお世話を少し手抜きして、綺麗になると良いのじゃない?」
- ・「学校から帰った時に子供さんのお話を聞く時間を持ったら?」とか
- ・「お母さんの思いをお話してあげたら」という意見が出されました。
- そう言えば私にもお化粧することや、人の話をゆっくり聞くことも忘れていた日があって、お医者から「白髪を染めたら気持ちが楽になるよ」といわれた事を思い出したのでした。
- 思春期といってもまだお母さんに甘えたい、話を聞いて欲しい、だのにいつも我慢をさせられた子供さんには、その寂しさの持って行き場がなかったのでしょう。
- その方はお帰りになる時、少し明るいお顔でしたから、皆ほっとしました。
- 現在は、脳血管障害の方を介護している方よりも、高齢者介護の方が多い実状です。介護者と言っても、介護が必要な方によって様々な立場の違いがありますから、一概にこれが役にたったと言えないかも知れません。
- でも、疲れた様子でいらした方も、帰りには明るい笑顔で「又来月ね」と、次の月を楽しみにしながら帰られる姿を見ていますと、何かほっとします。
- 集まりでは、話し合いの他に、新しい知識を得るために、見学会や学集会などもしています。
←6. 学習会→
6. 学習会
- 特に、不安や心配の解決法として、知識・情報を集めて学ぶことにしています。

- 例えば、どんなに公的サービスが準備されているか、ケースワーカーさんにお願いして説明を頂きました。
- 福祉サービスについての知識などは、意外に知らないことが多く、知ることで大変心強くなってきます。やはり、知ることによって解決できることも多々あります。
- 援助を受け入れられるものは利用して、介護にゆとりを持たせることが良い介護につながると思います。
- 又、高齢者に向けた様々な食事の問題は、非常に専門的な研究されているので、毎日のお食事のことでは、栄養士さんに来て頂いて、実例を基にして一緒に考えました。
- 食欲のない方の栄養の摂り方、嚥下が困難な方の食事作り、容易に利用できる補助食品の使い方等教えて頂いたのです。
- そんな勉強の内容は日常の介護生活に役立っていると声を聞きます。
- 災害時の不安のために、阪神大震災の体験をされた方のお話を、世話人の方が聞きに行き幾つかの困難な問題について考えました。

- その効果は、地域の方のご理解を頂いて、助け合っていくのが一番良い方法であることが分かりました。どうか、一大危機のときでしょうが、介護を要する方のあるご家庭に、暖かい援助がなされますようお願いしたいと思います。
- やはり地域の方々との交わりは日頃から大切にしたいと皆の声が一致しました。
- 介護者が倒れた時の心配は、実際に会員の中に体験した方があって、切実な声を伺いました。やはり介護者が倒れることは、本人は勿論、介護を要している方にとっても如何に大きなダメージを与えるものかを知り、介護者が倒れないように充分なサポートが必要であると痛感したのです。
- 今年度は、介護保険法について3回に亘ってお話を聞いたり、話し合いをしました。これからは家族介護から、社会的介護に方針が変えられる事を知りました。でも、まだ色々と正しくこの保険について学び、将来に繋がる良い保険制度なっていくためにも、もっとアイリス泉でも話し合っていきたいと思います。
- そのためにも、現在実際に介護している会員の生の声を聞きながら、ニーズをはっきりさせて、提言できるように成長したいと思っています。
- 更に今までは一般的に取り上げられなかった、「男性による介護の立場」からの発言も重要な意味があります。現在も数名の男性参加者がありますが、今後一層多くなることを期待しております。
←7. 見学会→
7. 見学会
- 実際の福祉施設の状況がどのようなものか。色んな福祉施設を利用したい希望者のために、区内の白寿荘、新橋ホームの施設見学をしました。

- そしてそこの管理者から説明を聞いたり、質問に答えていただきました。これからも他の施設を見学していく予定です。
- 次は堅苦しいことばかりでなく楽しいことのお知らせです。
- それは疲れた会員の皆様がしばし、時の経つのも忘れて、楽しく寛いで過ごしていただく計画もあるのです。
- これまでに、和泉小次郎の史跡を訪ねたり、和泉川に沿った花を愛でるハイキング、暑い季節の納涼会、年末の忘年会、その他に、泉区社会福祉協議会のお骨折りで楽しい食事会や、旅行に参加させてもらいました。これからも関係する方々のご協力を頂きながら中身の充実に努めてまいります。

←8. 会報の発行活動→
8. 会報の発行活動
- 次に大きな活動として、会報の発行事業があります。
- このアイリス泉の活動の様子を沢山の方に知って貰うために、毎月一回、「アイリス泉」と言う会報を発行しております。10月には第27号1,100部を発行しました。
- 障害と戦っている会員が編集者になり、新聞社のご出身で実務に精通している会員が監修してくださっています。
- 編集には保健婦さんと私も参加しております。
- 介護に忙しく、会に出て来られない方も会員と思っておりますので、各ケアプラザ、各地区センター、その他の施設、又サービスを受けていない方々にも配っております。
- この会報は、他の区へも送っておりますが、とても好評です。どうぞ一度手にとってご覧ください。皆様の思いが綴られていますし、介護に関する情報が載せられています。きっとご参考になると思います。
←9. 他区との交流→
9. 他区との交流
- その他、他の区の介護者の会と交流を行い、先駆的な活動をしている港北区の「ぶどうの会」などから、とても多くを学びました。
- 横浜市介護者の会連合会に加入して、情報の交換をしたり共通の問題を話し合い解決の方法を模索して、声を大にして要望したいことなど、討議しています。
- 又、関係するテーマで行われる講演会には手分けして積極的に聴講しています。
←10. 最後に→
10. 最後に
- 介護には家族の優しさはとても大切です。
- でも、一人で抱え込んで苦しむことは、結局良い介護にはなりません。
- これからは良い社会的支援を得て、お互いが良い関係を持ち続けながら、ゆとりある日々が過ごせるよう、必要な方はどうぞ「アイリス泉」にいらして下さい。皆様と一緒に考えてまいりましょう。
- どうもご静聴を有難うございました。

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