随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

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14.随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

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2002年6月
改訂 2009年4月

片マヒ自立研究会 主宰 森山志郎

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

序 「いま、私は乗船の呼び出しを待っている。船出はもう直ぐなのだ」

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」私は生まれて以来、「老」と「死」に向かって進んでいます。
  • 人生とは逆戻りの出来ない旅路なのです。
  • そして最後の船出の準備がすすんでいます。
  • 私の名前は、すでに乗船名簿に記載されているものの、未だ乗船の順番は来ていません。
  • でも、呼び出されるのは、それほど遠くはないでしょう。

  • 私にはその旅立ちを待つ、その限られた少しの時間にやっておくことがあるのです。

  • 急いでその仕事をしましょう。
  • 私の愛する妻のために、
  • 私の愛する子供のために、
  • 私の愛する友のために、
  • そして、次の時代を生きる「命」のためにも

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Ⅰ.心理学の支援

  • 障害とつき合うのも、老化とつき合うのも、同じ私の「心身」が対応します。
  • その「人の心」の動きを理解しておきたいものです。
  • 障害を持つ私は2009年末には80歳になります。
  • 障害と老化の二つと同時に取り組むことは、垂直に切り立った崖に挑戦する登山家のような覚悟が必要になります。
  • 私の体験を是非、皆さんの旅路に役立ててください。
  • 1.フランクルの「人生の意味」
  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」先ず、私が求めたのは「生きる意味」でした。
  • 障害者になってからは、「生きる意味」を見失っていた私には、フランクルの考えに心が動かされたのでした。
  • アウシュビッツ収容所における彼の体験は「夜と霧」と言う本になり、得がたい報告として全世界を驚嘆させました。

  • 彼は「人生の意味は、われわれが見つけるもの」と主張しています。
  • 私はこれに深い共感を覚えたのです。

  • 障害を得た私は、私の生きる意味を、私が見出さねばならなかったのです。積極的に私が意味を見つけだす必要があったのでした。
  • 障害者になっても、人間としての「生きる意味」を見つけることは、どうしても必要な関所と私は考えたのです。

  • 障害者になった私は、人生から一切の希望や意味が奪われましたが、「意味」を見つけると、障害のある老人としての課題に取り組むことが出来ました。

  • 彼はまた、自分の意識を越えた世界の働きを重視しています。
  • 注意深く見渡すと、これまでは見えなかった「意味」が発見できるのです。
  • 「気付き」が天から降ってくるようにあっても、「気付き」の根底には、本人の「無意識」の世界からの、「潜在意識」の働き掛けが「自己を超越した世界からの働き掛け」として現れるのです。

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2.ロジャースの「自己実現と傾聴」

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」私たちはロジャースからは、カウンセリングの「非指示」とか「傾聴」とか「気付き」とか「自己決定」等の重要な概念を教えられました。

  • 彼は日本のカウンセリングに大きな影響を与えており、ロジャースの理論が原点になっていると思います。

  • 仲間同士の「ピアカウンセリング」も同じカウンセリングの分野なので勝手な自己流でなく基本的な事項はロジャースの理論を勉強してから取り掛かることをお勧めします。

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3.マズローの「欲求の段階説」

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」マズローの欲求の段階説は有名です。
  • これは人間の欲求を、生理的欲求―安全の欲求―親和の欲求―自我の欲求―自己実現の欲求の5段階に分類したものです。

  • 「自己実現」が最上位の欲求として位置づけられていました。
  • しかし、晩年、フランクルの影響を受け、自己を超越した、更に上位の欲求があることを認めましたが、理論体系に組み込むには至りませんでした。

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4.エリクソンの「発達課題論」

  • 私は、エリクソンの発達課題から、「歳が幾つになっても人間には達成すべき課題がある」ことを教えられて目を覚まされたことを覚えています。
  • それと同時に、青年期に達成した「自我同一性―アイデンティティの確立」というテーマが、そのままでは、障害を受けた私には、問題があることに気づきました。

  • 障害を受けたことで、私は、ライセンスの再取得を求められた状態になったのです。
  • 心身の状態が変化した私が、昔のアイデンティティーのままで生きることには、大きな矛盾があるからです。

  • 私たち中途障害者は、改めて青春時代に通過したモラトリアムの混沌を再び体験しました。そして、心身の回復に応じて、「ふさわしいアイデンティティーの修正」をしたのでした。

一般的な発達段階
随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

  • このモラトリアムはリハビリテーションにとってとても大切な期間と思っています。
  • 広島大学大学院の岡本祐子先生は、変化した心身の現実を前提にアイデンティティーを修正する必要があることに注目されています。
  • 即ち、ここでアイデンティティの修正という大事業をするモラトリアムの期間は、私たちの再出発のための大切な期間と知って欲しいのです。

  • 「障害の受容」と言われる課題は、言葉を代えると「自我同一性の修正」により「現在の姿」を出発点としてリハビリテーションを考えることではないでしょうか。
  • 従って、私は、できれば、この4人の心理学者が切り開いた分野―フランクルとロジャーズとマズローとエリクソンを参考にして、皆さんのリハビリテーションが成功することを切に願うものです。
  • ことにエリクソンの理論は神谷美恵子氏の名著「こころの旅」が見事に描き切っておりますので是非参考にして下さい。

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Ⅱ 意思の様相について

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」 1.「意志のある所、道がある」
  • 退院して日も浅い頃、中学時代の恩師から励ましのお手紙にこんな格言がありました。

  • 「Where there is the will, there is the way.」
  • 「意志のある所、道はある。」

  • なるほど、やっぱりそうなのか!
  • 改めて辛いリハビリ訓練に負けない強い意志が大切なのだと思いました。

  • 意思の弱い私には困難なリハビリテーションに思えていましたが、私の内心は障害によって誇りのある人生を奪われた悔しさが満ち溢れていました。
  • これが私の回復への原動力のエネルギーとなり「人間としての誇りの回復」と言う欲求が私を動かしたのだと思います。

  • 「誇り高き私」を今一度、回復させたい希望が沸々と燃えてきました。
  • このまま立ち上がることの出来ない障害者として、人生を終えることは、長年苦楽を共にした妻には耐え難い人生を強要することになります。
  • 授かりものの子供にも申し訳のないことになると思ったのです。

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2.人間は「意志」に従って生きる。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」人間が生きるときに「意思」が人の進む方向を決めます。
  • その大事な「意思」であるにも関わらず、近頃の風潮は、この「意志」を鍛えて強くすることを怠っているように思えるのです。
  • その代わりに少しの「ストレス」にも耐えられない弱い子供を育てる方向に向かう風潮には、少々抵抗を感じています。2.人間は「意志」に従って生きる。
  • リハビリに成功している方々は、必ず、再発と成人病の予防をしながら、自分で可能な目標を持ち、そこに進む強い意志と、決めた以上断固として実行する行動力と、これを支える家族の温かい目線があります。
  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」温かい目線とは、危なくない限り手は出さずに本人の自立性を尊重することで、常に見守ることでしょう。
  • 目標を作ることに慣れていない方は、リハビリの関係者か、同じ障害を持つ先輩に相談して、自分の力でやれる適正な目標を作ってください。2.人間は「意志」に従って生きる。
  • そして成功したときには皆で誉めてあげましよう。
  • 成功が次々につづく事ほど自信をつける良い薬はありません。
  • だから、目標は、少し頑張って努力すれば達成のできる水準、手の届く水準でなければなりません。逆立ちしても達成のできないところに設けると失意を生むだけで逆の効果を生みます。2.人間は「意志」に従って生きる。
  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」自分の現在の能力を過信している人は、物事を安易に考えて失敗して自信を失います。
  • これは物を持ち上げるときに、しっかり腰を下ろして取り組まないと捻挫を起すのと似ています。

  • どの程度の能力が回復しているか、周囲の人々が見れば分かりますから、周囲の評価を素直に受け入れて自分が「今できる能力の限界」を知って欲しいものです。

  • 逆に不当に低く自分を評価する人は、そのために、自信のない態度になり、目標の達成に尻ごみしてしまいます。これは何とか励まして欲しいものです。
  • 病後の自信回復期では、「小さな一歩、しかし私には大きな一歩」なのです。
  • 何とか自信を回復する道を見つけてください。
  • それは、自信を回復することが、自力で動くためのエンジンに点火して大きな飛躍のステップになるのです。

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3. 「意志」は小さな火種のような、弱々しい存在である

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」私たちが障害をもつと、どん底まで精神力のエネルギーが落ちてしまいます。

  • その時の「意思」は、丁度、小さなローソクの火のように弱弱しいものでしかありません。
  • 隙間から吹き込む少しの風にさえも、簡単に消されてしまうほど弱いものなのです。その頃は、少しの失敗にも気分が落ち込み、希望よりも絶望が精神を支配しようとしています。でも、小さな成功が一つずつ積み上がり、次第に回復した精神力が希望の道を見つけ、やり遂げようとする「意思」が次第に強く大きくなり、私たちの生活に欠かせない武器に成長します。

  • この大切な「意思」は私たちの人生行路を決定する人生の舵に育つのです。
  • 但し、ヒトラーのように狂暴なエゴイスティックな強い「意志」は、全世界を焼き尽くす業火となります。
  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」私たちの「意思」が向かう方向がどこでも良いのではありません。人類の平和と共存と云う、社会の方向性や、社会復帰と家庭の平和という個人の方向に責任を持つのです。

  • 明るい未来への「灯台」として、障害に負けないで生き生きと生きるサバイバーとして自分の周囲を明るく照らす人生に向かって欲しいのです。

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4.「意志」は、育てるものである

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」か弱い「意志」は、朝顔の苗のように、水をやったり、日に当てたり、風通しを良くしなければ育たないものです。

  • しかし、夏の暑い盛りに、水が欲しいだろうと、水を与え過ぎると朝顔の弦や葉が徒長して花を咲かせることを忘れてしまいます。

  • どうも朝顔などの植物には、ある時期には、水を断ち、枯れるかも知れないという「危機感」を自覚させないと「花を咲かせる」スイッチが入らないようです。

  • 植物の研究によると、自分の命が危険であると感じると、種族を維持する本能が働き、次の世代を育てようとして、初めて花は咲き実をつけるといわれます。

  • この朝顔の習性は、人間にとっても意味の深い自然界の教訓に見えるのです。
  • 「困難を乗り越えることによって意志は育つ」と、イタリヤの心理学者のアサジョリーは主張しますが、私には100%納得の出来る説と思います。

  どうも最近の教育は「水の与えすぎ」ではないかと心配になりました。

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5.「闘う意思」は、何よりも大事

  • 平和な時代に育った世代は、「闘うこと」を罪悪と考えたり不要と誤解する人が多いのではないでしょうか。
  • 人間にかぎらず「命あるもの」は動物でも植物でさえも、生存のために闘っています。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」人間は、「戦う意思」をもたねば、最後に生存の場すら追い出されて滅亡することが歴史に示されています。
  • 毎日の報道でも、食物を求めたり、自分の文化を拡大したり資源を求めての侵略とそれに伴う被害者の惨状は日常的な風景なのです。

  • 健康を損なう病原菌とも、私の健康を守るために闘わねばなりません。
  • 台風とか地震と言う自然の災害とも闘わねばなりません。
  • 私たちの「心」にある「どうでも良いや」と言う怠け心とも闘うのです。

  • 残念なことに、私たち人間は、自然の環境が許す範囲でしか生きられない動物なのです。どれだけ宇宙が広くても、人間の住める星は地球しかありません。
  • その地球の上でも海や極地や砂漠や高山を除く、限られた地域に過ぎないのです。
  • その地球の上で古来、人間は生きる目的で様々な敵と闘ってきました。
  • 生きる為の戦いは未来永劫に続くと思います。

  • 障害を得た私たちは、自分のためにも、愛する家族のためにも、何百世代も受け継がれてきた「命」のためにも「闘う意思」を大切にすることが求められているのです。

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Ⅲ.障害と老化

  • 1.「老い」とサバイバーの役割り
  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」障害を持って老人になることは、二重の不便さと向き合うことになります。

  • 障害の不便を克服して、
  • 「生き生きと生きるサバイバー」の仲間入りをしても「老化」は新しい課題を持ち込むのです。

  • 人間の「老い」の時期には、社会のシステムを担う職場から解放された代わりに色んな課題もあるのです。それは、エリクソンが心理学の発達課題として指摘した、老人の達成すべき「人格的統合」と言う課題です。

  • 昔は余生を楽しむとか、楽隠居をする年頃と見られ、その中で解決した問題かも知れません。しかし、現役引退後の期間が長くなり、預貯金の目減りが激しい現代社会では、障害を克復して「サバイバー」として生きる方々には「やるべき役割り」が残っているのではないでしょうか。

  • エリクソンが主張する「人格的統合」は、少し分かりにくい言葉ですが、誠実に生きてきた老人が、自分の人生を振り返り「失敗してた人生だった」と否定的に考えるのではなく「良くやった素晴らしい人生だった」と自分の人生を納得する生き方のことです。
  • そしてその生き方を、他人に伝える「愛」が生まれ、自分の体験を少しでも他人に分かち与える姿勢を言います。その行動や考え方が人生の終盤を締めくくるのです。

  • 「サバイバー」の皆さんには「障害の克服」の上に立った「老化」を体験しています。それには自分の「サバイバーとしての経験」をこの「人格的統合」の達成のために使って欲しいものです。

  •  「老人」には人生の豊かな経験が蓄えられています。その経験を活用して社会に還元すると云う大きな役割りがあるのです。だから「脳卒中のサバイバー」になった私たちには、人の知らない苦しみや体験を乗り越えて豊かに生きてきた「誇りにしたい」人生があります。これを、社会にメッセージとして伝えることは大切な仕事なのです。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」でもそのためには、「健康な老人」でなければなりません。
  • と同時に、老人を活用するような社会的の制度や習慣が整備されて欲しいですね。
  • これからの高齢時代に障害を持つ老人は、積極性を身につけてメッセージを発信して欲しいのです。

  • そのことが地域の意識を変えて皆が住みやすい町を作ることになるからです。

  • 「年寄りの云うことなんかつまらない」と、老人の発言を無視する風潮の社会では、老人の智慧が活かされない貧しい社会であり、活力が失われ衰亡する社会になります。
  • そして、たとえ障害があっても「サバイバー老人」には、出来ることが沢山あることを知ってもらいたいのです。
  • それには皆さんが、どんなに小さな課題でも良いから、自分で決めた課題の実現に向けて、自信を持って実行して納得させるしかありません。

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2.「老い」は肉体の機能低下から

  • しかし、昔から人間が老化するのは、「歯や目から」といわれたものです。
  • 恐ろしいのは肉体の衰えが、精神の活力を奪い、気力の衰えにつながることです。
  • 人間は生きていくために、最後まで精神も肉体も健康であって欲しいですね。

  • ウルマンの有名な「青春」と言う詩にも、人は年を取るだけでは老いない、理想を失ったときに人は老いる、と歌ったのです。これは精神の強さが肉体の活力を支えている真実の姿を歌ったものなのです。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」人の「死」は、地球の重力に抵抗して立ち上がる肉体を支える筋力が低下して寝たきりになり、飲み込む時の喉の筋肉が弱くなると口から食べ物が入らなくなります。

  • 肺を動かす筋肉が弱くなると酸素を取り入れ呼吸が出来なくなり、心臓の鼓動をおこす筋肉が停止すると血流が停止され、脳が死んでしまいます。
  • 脳の機能が停止すると人間の心身全体の司令塔が破壊されたことになり、「脳死」になるのです。

  • 私たちが生物である以上、この「生命現象の終り」からは避けられるものではありません。しかし、最後の瞬間まで心身の健康を保ち、人間として「ピンピンコロリ」の人生を目指す努力は許されるのです。
  • とにかく人生の終りの時期は大事な期間なのです。

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3.「老害」でなく「老熟」になる条件

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」「老い」を考える時、「老害」にならず「老熟」を目指したいものです。

  • 特に老人の問題を考えるときには「尊厳」という言葉を考えます。
  • 生きている限り「尊厳」を失わないためには、人生の終止符をすら自分の意志で決定できると云う「自立の意思」を尊重したいものです。

  • 元気な老人が寝たきりになり、ある日、「おむつ」を当てられると、途端に意識の障害である「ボケ」が出ると聞きます。
  • 人間の自立行動が衰えることは、死に一歩、近付くことになるようです。

  • 出来る限り自分の力で自分の身辺の仕事をつづけることが最上の「老熟」にいたる道なのでしょう。「自立の意思」が大切と言われるのは、これが人間としての「生きる姿勢」の原点だからと思います。

  • 介護をする方が「優しく扱う」ことの余り「依存的」な生活習慣を与えることは、「寝たきり」の坂道を転がり落ちることになると、知らねばなりません。
  • 「廃用症候群」と言う恐ろしい現象は肉体の筋肉や関節にも、そして精神の活力も奪い去るからです。
  • 「怠ける」こと「怠けさせる」ことは「老熟」の最大の敵になります。

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4.「出会い」が仲間を生み、新しい貴方を作る

  • 私が入院中に出会った最初の仲間は、同じ病棟の脳疾患の皆さんでした。
  • 共に身に降りかかった不幸を半ば呪いながら、自発性の意志も充分に育ってない仲間でした。希望の光もまだ充分に差し込んでいない時です。
  • 無理矢理に強がりを言ったり平気な顔をしていても、内心に広がる不安の黒い雲は拭われませんでした。

  • 退院して自宅に戻ると、道路はバリアーのために行動が妨げられ、好奇心に溢れる人々の好奇心に溢れる眼が心を萎縮させ、次第に「引きこもり」の状態に陥ってしまいました。

  • 幸いなことに保健師さんにリハビリ教室に誘われたので出席してみることにしました。するとそこで同病の仲間と出会うことができたのです。
  • 皆さんと一緒に体操したり、工芸をしたり、歌ったり、仲間の動きを見比べながら、それまで自分で気のつかなかった障害も自覚ができたのです。
  • カウンセリングのお陰で自分を見つめる余裕も生まれた時期でした。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」やがて教室を終了したので、自主グループを作り、「同じ障害者でも、同程度の活動ができる」人々で活動を始めました。
  • この仲間の最大公約数として、とにかく楽しい活動を通じて社会性を回復しようとしたので「遊び」を中心にしたのです。
  • 人々との「出会い」は、新しい私を形作る大きな原動力になって行きました。
  • ここの事務局長を10年、勤めたお陰で、企画力を身につけ、人前で話すことができるようになりました。
  • 会報を作るようになると、文章を書いたり、ワープロで原稿を打ち込んだり、印刷して製本したり、色んな能力が目を覚ましました。
  • 初期の社会復帰に必要な能力が一つずつ確認することができたと思っています。

  • 平行して、カルチャーセンターの教室では私に「知的」養分を与え、新しい人々との「出会い」が豊かに広がる文学や歴史や思想の世界に導いてくれたのです。
  • 「俳句教室」は障害のために能力が制約されても工夫がある事を、「吾妻鏡」は栄華の影で繰り広げられた源氏の滅亡の足跡を、そして「正法眼蔵講義」では道元の卓越した哲学と共に、終生の交誼を賜る同学の皆様を私に引き合わせてくれました。

  • 講演会で大田先生との「出会い」は私に大きな衝撃を与えました。
  • 先生のお話から私は新しい人生をつくらねばならないと決心をしたのでした。
  • それ以来、事あるごとに先生のご指導を仰ぐようになりました。

  • たまたまリハビリ教室で筆を持たせてくれた習字の師匠との「出会い」は、やがて師匠と弟子の関係に発展し、私を「隷書」の習熟に向かわせてくれました。

  • その成果は私の自信を回復させてくれ、新しい森山志郎の姿がおぼろげに見えてきたのです。右半身に麻痺が残っても残された体で生きていく自信と誇りが回復したのです。そして「障害」をあるがままに受け入れて生きることに踏ん切りがつきました。

  • その成果を、闘病記「歩けた!手が動いた」として出版して以来、保健師の研修会や看護学会で発表する機会を与えてもらいました。
  • そんな医療関係者に多くの「出会い」があり、その後の新しい講演活動に導く手を貸してくださいました。
  • それらはリハビリテーションの理論的な勉強にも弾みがついたのです。

  • 新しい「出会い」には、新しい世界に導いてくれるヒントが沢山隠されていました。しかし「出会い」を通じて届けられたメッセージが誰でも受け取れるとは限りません。それは、型にはまった考え方から出られない人があるからと思います。
  • 是非、「握っている拳を開かないと新しい宝はつかめない」、という言葉を吟味して新しいメッセージを受け取って可能性に挑戦してください。

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Ⅳ.人生の歩み

  • 1.現代の社会が求める「変革」の手助けを
  • 少子高齢社会という言葉を聞きます。これは、これまでの、「多くの若い世代が、少ない年寄りを支えてきた」社会から、年寄りでも、なるべく自分の努力で生きなければ、社会が保てない時代に入ったことを意味しています。
  • 人口の分布を見ると年寄りに比べて若くて働く年代が少ないのに驚かせます。

  • 80歳になった私の役割りにはどんなものがあるでしょうか。
  • まず、徹底した自立精神で、老人夫婦で生き抜く自覚が求められることを意味しているのでしょう。
  • そのためには、私たち老人は智慧を働かせることが必要になります。
  • 机の上で作った空論の作文では解決が出来ない問題なのです。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」もう一つは社会に巣食う、白アリは駆除しなければならないことです。
  • 日本人は敗戦の廃虚の中から、祖国の再建を目指して必死に働いてきました。
  • 気がついたら、世界第2の巨大な経済大国になって喜んだものです。

  • しかし、知らない間に、白アリが巣くい、年金制度も腐敗が進んでいたことに国民は驚愕しました。
  • 国民の信頼を裏切る白アリは、国家の中枢にもはびこっているのです。
  • 残念なことに、私たちが大切に思ってきた日本と言う国は、風が吹けば、何時でも倒れる「空虚な巨木」になっていたのでした。
  • 老人はこの問題にどのように立ち向かえば良いのか。
  • 次の世代のためにも看過できないテーマがあります。

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2.都市化の影響で、子育てが危機に!

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」都市化の影響で若い世代が都会に出る反面、年寄りは過疎の田舎に取り残され淋しく暮らしていく状態になりました。

  • 折角生まれた小さな子どもの成長を年寄りが側で見ることもできないのです。

  • 次の世代を担うに関わらず、子育ての自信のない若い母親は、時にストレスで精神的に悩んでいる様子が伝えられます。次の世界を担うべき子育てが危機なのです。

  • 又、少子化は、数々の新しい問題を投げかけています。
  • 親の溺愛を招き、物質的な欲望ばかり満たされて、子どもは我が侭な心のままに育つとか、屋外運動の不足から運動能力の減退を招いているとか、更に精神的に充分に成熟しないまま母親になって戸惑う姿も聞きます。

  • こんな社会の当面する問題の解決には、年寄りの出番があるのではないでしょうか。そのための第一歩として、若い世代との信頼関係を築いていくことから手をつけようではありませんか。

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3.自分に見合った役割りと「自立した生き方」

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」これまで見てきたように、障害者や老人が生き甲斐を持ちながら取り組めるテーマは沢山あります。

  • 一口で云うと、環境問題とか、保育問題とか、高齢者介護やまちづくり等の課題が解決されるのを待っているのです。
  • 地域社会の中で、子どもから高齢者までが、「将来に希望を持てる社会」にするという夢を持つことです。

  • そのためには、皆さんが積極的に「地域社会」に根を下ろした活動の役割りに取り組むことをお勧めします。

  • それには「地域社会」の中で、その担い手である若い人の支えになって皆さんが自分の役割りとして「頼り甲斐のあるお年寄り」になることだと思います。

  • 年寄りが威張って見えると若い人からは敬遠されてしまいます。
  • 敬遠されると「老害」と間違われます。
  • 尊厳は保っても、支える側に廻って、威張るのではなくいて「優しい老人」「頼りになる老人」「嫌な顔をしない老人」「智慧を借りる老人」になってください。

  • 自然に活動の機会が生まれてくると思います。

  • 私がある日、公園を散歩していて、ガラスの破片が散らばって子供に危険なことに気がつきました。
  • そこで翌朝からはゴミ袋を持ち散歩をしながら破片を拾っていったのです。2~3日もすると公園の中でゴミを拾っている人の姿が見えました。
  • やがて私か拾う危険なゴミはなくなっていました。
  • 何時の間にか皆が拾ってくれていたのでした。

  • 改めて、大きなことは出来ない私でも、黙々と公園の危険物を拾うような小さなことはできることを自覚しました。
  • 私の地域社会の活動にはこんな小さなことが出発点になったのでした。

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4.「老いへの成熟」は「誠実な人生」の結果

  • 私たち、戦後の社会を生きた人生は、決して平穏な日々ではありませんでした。
  • むしろ貧困と嵐が続いた日々だったと云うべきでしょう。
  • その貧困と嵐の日々には夫婦が共に立ち向かってきた歴史が刻み込まれています。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」結婚して新居を構えた石炭鉱山は、石油の輸入が自由化されたために破綻して閉山してしまいました。

  • 途中入社した新しい会社は、古い事業の合理化と、新しい事業の創立に懸命に取り組んでいましたから、働き盛りの私にはゆっくりと家庭を顧みる余裕などありませんでした。
  • 子供の養育は妻に押しつけるのが精一杯の人生でした。

  • 会社定年を延長していただき、ようやく静かな人生を送れると思った頃、皮肉にも脳梗塞が襲い、右半身麻痺の重い障害が私に圧し掛かったのです。
  • このまま中途半端に人生を終わることは耐え難いことでした。

  • そして、幾多の難路を経て障害と共に生きる自信が生まれました。
  • その体験記「歩けた!手が動いた」の出版以来、「脳卒中サバイバー」として全国の講演活動も100回を超えて、積極的に生きる生き方を手に入れることができました。

  • 私が設立した片マヒ自立研究会の例会活動が100回を超えたことを記念して、社会学者の細田満和子先生を招きました。

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

  • そこで初めて、「障害のあるサバイバー」という考え方がある事を知ることができたのです。きっと前向きに生きる障害者の態度と思います。

  • 私たちは改めて、生き方を広い社会学の視野から見つめなおす必要を感じました。
  • やがて、新婚旅行もろくにしていなかった私たち夫婦でしはたが、2004年に妻と共に海外に旅をして金婚式を祝うことが出来ました。外国の自然を眺めながら「連れ合い」と共にしみじみと成熟した夫婦を感じたのでした。

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

  • 最近、それは2009年春、男性老人に特有の前立腺肥大が見つかりました。
  • 「念のために癌の検診を」と言う医師の示唆に応じて「生検」に踏み切りました。
  • 不安な情報でも無視したり曖昧にせず、家族と共有することは、共に生きる者を裏切らない「誠意」であり「義務」と信じたからです。
  • それよりもその健康の不安に対抗する積極的な対策を協力して行うためには情報の共有は家族の必要な条件と思ったからです。

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5.「生は良き哉.病も良き哉。老いも良き哉、死も良き哉」

  • 有限の生命を生きる人間は、「生病老死」の人生を送ります。
  • 「病・老・死」は「生」に伴い付随するもので、全ては一連のつながりを持つものなのです。東洋の思想では「生の位と死の位」があり、生と死は連続したものとして考えられるのです。

  • その中で、病は積極的な活動を休んで、自分の生まれた不思議を思索する機会を与えてくれる時間と受け取ると病の色彩が変わってきます。
  • 物事は受け取り方により、マイナス体験でなくプラス体験にできるのです。
  • 健康を失った替わりに私は、人生の大切なものを自覚することができたのです。

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

  • 世界の思想では「老人」は人格が整った理想の姿として手本とされてきました。
  • ところが現代の社会では、技術革新により、デジタル技術が急速に進歩したために、老人の技術習得能力を超えてしまって不安が生じています。
  • 老人は落伍者と見られたのです。

  • 丁度、アメリカ社会に端を発した金融恐慌は、アメリカ社会の脆さを示しています。その原因の研究が進むと、若い、頭の良い人たちが金儲けを唯一の目標にして、老人が疑問に思う手段で社会を破滅させた事情がわかってきました。
  • 老人の智慧を社会に活かす必要性があることが明確になったのです。

  • そして「死」は全ての人に平等に、しかも確実に来訪します。
  • そして人は再び宇宙の「生命の泉」にもどるのです。

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6.「チャンスを与えられた人は、実行する使命がある」

  • 障害者になった私には、自分の苦しみに満ちたリハビリとその克服の体験記「歩けた! 手が動いた」「心が動く」の2冊として出版しました。

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

  • 自分の裸身を人前に曝け出すという心理的な抵抗はありましたが、この報告を多くの人々に届けたいという情熱のほうが勝っていました。

  • 更に、全国保健婦研修会とか看護学会でも報告の機会が訪れ、私に与えられた聖なる初仕事として、医療関係者や学生、そして立ち上がろうとしている障害者の「生きた教材」としての活動に取り組んだのです。

  • やがて、活動が地域社会にも広がり、自治会の役員になってから、地域内の道路問題を切り口に、地域全体のバリアフリー化の計画を推進してその実現ができました。
  • チャンスは向こうからやってくる事を実感しました。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」私はこれも「仏の方より行われる」事だろうと理解しています。
  • 私たちに大切なことは、常々から、機会がめぐってきた時に対応できる準備をしておくことだと思いました。

  • 高齢社会の不便さには、障害者なるが故に見えてくる問題も含まれています。
  • それらの解決に向けて私たちは主張をしていかねばなりません。

  • アメリカの患者団体の活動にはAdvocacy と云う、積極的に自分を主張して、訴訟や教育を含む活動があると聞きます。
  • オバマ大統領の出現で私たちは、幾世紀にも渡る、黒人社会の粘り強い人権獲得の闘争を知り感銘を受け、「主張」することの大切さを学びました。

  • 障害者になることで知ったり、体験が出来た様々な問題は、自分が困るというだけの問題ではなく、次の世代が蒙る問題、将来のための問題解決として考えねばならない問題なのです。
  • そしてその担い手は「私やあなた」なのです。

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7.黙々と歩く

  • 私の病気を引き起こした体質は、糖尿病体質であり、今では本物の糖尿病として管理しています。障害のリハビリと共に運動が必要なのです。
  • その運動には「歩く」ことが中心になっています。
  • 歩く能力を維持し全身の血行を良くし、食べ物が取り入れたカロリーを燃焼して、余剰エネルギーが脂肪として体重の増加をさせないためなのです。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」歩きながら頭の中を整理します。
  • また、運動で「汗」を流します。この汗と共に老廃物や重金属を体外に排出させる重要な対策と信じています。
  • 頭の中では様々な考えが浮かんでは消えて整理されて行きます。

  • 忘れてならない事を三つ申し添えます。
  • 一つ目は、歩くことには危険が伴うので「絶対安全」の注意をしてください。
  • そして二つ目は、外出から帰ったら必ず、手を石鹸で洗い喉と鼻の嗽をして下さい。
  • 三つ目は必ず肌着を取り替えてください。
  • 私の場合、右半身に汗が出ていても、マヒのない左半身の肌はさらさらしているので見過ごすのです。つまり私の右半身は、左半身と違った特性を持つているのです。

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8.障害を持つサバイバーの道は、地図がない

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」障害を持つ「サバイバー」として老人になる道は、砂漠を横断した三蔵法師や、未踏の南極大陸に挑戦したアムンゼンのように、参考になる図面のない道なのです。

  • 障害があっても、それに負けることなく自分の才能を発揮させたベートーヴェンや宮城道雄と言う大音楽家は別として、平凡な市民である私の手本は中々見つかりません。

  • しかし、この険しいルートを抜けて出なければ、「サバイバー」として生きることは出来ないのです。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」自分に出来る限りの力を尽くし、自分で信じた道に賭けましょう。
  • 自分の力が尽きるまで努力して、自力が果てた後に始めて「神の見えざる手」や「御仏の方より行われる」と、他力の支援が現れる「他力本願」を固く念じ信じましょう。

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」これは私が書展の準備に新しい書体「篆書」に挑戦をしていた時のことです。
  • どんなに努力しても篆書の線が思った通りに書けませんでした。
  • 諦めかけて「今年はダメだったか。もう一年頑張るしかないか」と、最後の一枚と思って筆を取り上げた時、突然、これまで出来なかった、難しい篆書の曲線が自由に書けるようになったのでした。
  • こうして篆書の難しい部分を無事に通り抜けたのです。

  • 「自力を尽くして他力の現れるのを待つ」と言う禅の思想が始めて実感できたのでした。

  • お習字は誰でもが適している良い分野とは限りません。
  • 一緒にお習字の師匠に弟子入りした障害者の仲間は、残念ながら脱落していったのです。一人一人が素質も違えば、環境も違うからでしょう。

  • ただお習字は私にとって大切な世界でした。
  • 左腕で書いた作品を区民文化祭の会場で眺めて、私の自信は揺らぎのないものになったからです。
  • それは新しい「森山志郎の誕生」と言う記念すべき瞬間でした。

  • 私は古い着物を捨てる決心をしました。
  • 私は昔に戻るのではなく、新しく誕生した森山志郎を少しずつ磨きながら完成に向けて作り上げることでした。
  • その世界は、会社員としては予想もしなかった心の豊かさに驚きもしました。
  • そこは「人と競う」世界でなかったからです。
  • そこは、人によって一人一人が様々な「生きる意味」を大事に、その人なりに自分の人生を作り上げる世界なのです。

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9.人生の「物差し」はさまざま

  • 随筆「共に岩登りに挑戦する友に」古来、日本人は長寿を祝いました。そしてこれは、還暦、古希、喜寿、傘寿、米寿、白寿と高齢期の節目に応じていました。

  • しかし人生の「連れ合い」と共に過ごした時間、夫婦の時間を祝う、銀婚式とか金婚式は外来の文化なのです。
  • こんな記念は改めて自分たちで感謝をして祝うことにしたい貴重なものなのです。

  • それは、全ての価値を「金銭」の単位に換算して計り、それを比較する世界もあります。金銭が幸福の全てと思っている人が沢山いたからでしょう。
  • 確かに経済的に楽かもしれませんが、しかし、金銭で買えない貴い価値があることに気がついている人もあるのです。
  • でも中には死ぬときに「あの世まで金をもっていきたい」と内心が満足しない人もあるそうです。

  • そして、使命感と共に生きる人の人生の時間は、金銭で比較することが出来ない深い豊かな世界と思います。
  • 使命の達成は心を豊かに潤し、感謝の気持ちに溢れて人生の最後の日を迎えるでしょう。老後を生き生きと生きるためにも、この使命感が老人には特に必要といわれる訳です。使命感を持つ人の価値観は金銭や物の豊かさとは関係がありません。

  • 「食は命をつなぎ、家は雨や風を凌げば足りる」のです。
  • 「欲望を満たす」方向に進めば、どこまで行っても「際限のない欲望の拡大」に追いつくことはできないのです。そして「飢餓感」に悩むのです。
  • 古人はこの哲理を「吾唯知足」と説きました。
  • 欲望が小さければ少ない物質で満足が出来る心の不思議さを説いたものでしょう。

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

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10.「再発と成人病の防止」は全ての努力の前提である

  • 私たちのリハビリテーションに力をくださった方の中に、先年なくなった河内卓博士がおられます。
  • 先生はガンの予防研究の成果を「ガン予防10か条」にまとめて広く国民に予防の教育をされた方です。
  • その先生が脳卒中の予防を研究されて見つけられたのが「脳卒中になりやすいのは一度脳卒中になった人だ」という再発の危険性でした。

  • ここで私たちは、自分がどうして脳卒中になったのか、改めてもう一度、その原因を調べて、自分の持つ危険因子を徹底的に除く努力をして欲しいことを提言します。

  • 更に「ガン」など別の成人病でリハビリテーションの苦闘も空しく世を去る方も多いことに胸を痛めます。

  • 私は、毎日80本のタバコを吸い、暴飲暴食で脂肪もアルコールも無制限でした。
  • 血圧も高めで、高脂血症もあり、肥満体質で糖尿病の管理を怠っていたし、仕事の上でストレスも絶えませんでした。
  • 北海道の濃厚な食生活も拍車をかけたに違いないと反省しています。

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

  • そして気候が夏から秋に移る急に冷え込む日、展示会の会場で異状に気づいて入院をしたのです。病になるべくして病になったと反省しました。

  • 私の再発と新たな成人病の対策は、絶対禁煙、体重を80キロ未満に維持すること、冷たい水で手足の血管を収縮させないこと。
  • 食生活として、酒は嗜む程度に抑え、塩分に代えて酢を多用し、動物性から繊維の多い植物性食品に代え、食事の時間を規則正しくし、嗜好品は妻と分け合って、トータルの摂取カロリーを制限しています。

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」

  • 毎日の外出と、毎週の筋力トレーニングに汗を流すことを欠かしません。
  • 無用なストレスは発生させないように注意します。
  • 地域の活動をされる若い方の支えになるお手伝いをしたり、自分も混声合唱の一員としてリハビリの発声練習の代わりにしています。

  • 自治会のサロンのお習字では、一緒に筆を持つ楽しい時間をつくる工夫をします。
  • 空腹は粗食でも美味しい料理に変えてくれます。
  • 快眠と快便が体調を快適にしてくれます。
  • 病気をして以来、夜の睡眠の持つ意味が大きくなりました。
  • 壊れた神経細胞の修復には「眠ること」であると聞いたからです。
  • 今日一日の健康を感謝しながら12時前には必ず睡眠に入るようにしています。               

随筆「共に岩登りに挑戦する友に」