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平成21年9月21日
片マヒ自立研究会 主宰 森山志郎
泉区中途障害者リハビリテーション「ほのぼの会」
- 今、紹介をいただいた森山です。
- 今日お邪魔して驚いたことが二つありました。
- その一つは20年前に区役所にいらした夜野田さんにお会いしたことです。
- 20年前はもっともっと若くて颯爽としていました。
- こんな素晴らしい方が「ほのぼの会」の運営をしていてくださることは素晴らしいですね。
- それと皆様の体操を見て凄く機能が回復していることに驚きました。
- 私はパワートレーニングを始めてようやく爪先立ちが出来るようになったのです。
- 右の肩の筋肉は、入院中に肝臓を悪くして絶対安静をした結果、全て失ってしまいました。
- 退院した頃の私の腕は目の高さに挙げるのが精一杯でした。
- その後の訓練で今ではこれくらいなら上がります。
- 私の「ほのぼの会」時代と比べると機能的にはずっとずっと皆様のほうが上です。
- 因みに私は「ほのぼの会」の2回生なので皆様の大先輩になります。
- 折角みな様とお会いしたので今日は参考になる話を準備しました。特に病院生活から退院して、社会生活に戻ろうとしている時期に皆様に考えて欲しいテーマを紹介します。
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1. 脳卒中の犠牲者にならず一緒にサバイバーの道を目指そう
- 先ず、皆様方に「良かったですね!」とお祝い申し上げます。
- これは決して皮肉ではありません。
- 脳卒中と言う病気を経験することで「生」の向こうに「死」がある事を学んで来られたからです。
- だから「価値観」のもち方に大きな幅が生まれています。
- これは、これから新しい生き方を考える武器になるからです。
- 更に皆さんと一緒に入院していても退院が出来なかった人がたくさんいます。
- たとえ脳卒中になっても、
「免疫学の権威・多田富雄先生」のように、言葉が自由にならなくても堂々と、新しい人生を切り開いたり、
- 一方では後遺症を克服して社会的に活動したり家庭のなかで家族と明るく暮らしながら「生き生き」とした人生を送っている方々のことを「脳卒中からのサバイバー」-生還者と云う意味で、これはアメリカ社会での表現です。
- 是非、皆さん方にはサバイバーの一員としての道を歩いて欲しいのです。
- 是非、サバイバーになってください。
- 次にサバイバーになると云うことはどんなことが必要になるか、それを幾つか紹介します。
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2.病院から社会に出ると他人が決めていた一日の生活を自分で決めた生活に変えねばならない
病院を退院して家庭に戻ると生活の感覚が変ってきます。
- 病院の中では、朝起きて夜寝るまで、看護師さんの指導で食欲と関係なく食事をしたり、眠くならなくても消灯したり、運動も入浴も全て「あなた任せ」の生活がつづきます。
- 皆さんはそんな生き方に慣れてしまったことを自覚してください。
- そんな生活にすっかり身も心もなれてきたときに退院したのです。
- 退院した以上、全てを自分で生活を組み立てて、決めていかねばなりません。
- 自分で朝の起床時間を決める、食事の時間も内容も決める、体操も、休息も、寝る時間も、全部自分で決めるのです。
- 自分で自分の生活をつくるのです。
- 自分が主体になって自分の生活をつくるのです。
- これは他人任せにしてはなりません。
- ご自分の年齢でも違いますし障害の場所でも、程度でも違ってきますから「自分」の判断が大切なのです。
個人ごとに違った生活なのです。
- そうやって決めた「生き方」も仲間同士で学びあうことが出来るのも、これだけの仲間がいればお互いに学びあっても好いでしょう。
- こんなグループの良い点は、互いによいところを見せることが出来る点にあります。
- どうか仲間の良いところを学んで「あの人はどんなにしているかな」と観察して参考にしてください。
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3.何をするにも時間が足りないー1日は24時間しかない。生活を見直して不用な仕事は捨てる。
- 入院前の生活に戻ろうとしても出来ないことが沢山あります。
- 昔だったら朝起きて、顔を洗って、着替えして、食事して職場に向けて飛び出すのに30分あれば良かったのに、今ではこれだけの仕事をするのに2時間とか3時間掛かってしまうのです。
誰でも一日の時間は24時間しかありません。
- 時間は誰にも平等なのです。
- どんなに頑張っても特別に障害者には48時間を呉れることはありません。
- この与えられた24時間の中で必要な生活をしてゆかねばなりません。
先ずは睡眠時間の確保があります―最近の研究ではこの睡眠は脳神経の回復にはとても大切なことが分かってきました。
- ですから夜の睡眠時間は大切にして充分にとって下さい。
- 排泄とか食事とか入浴といった「生きる」営みに必要な日常生活に割り当てて、残った時間を「余裕時間」として自分が自由に使えるのです。少しずつこの時間を増やして行きましょう。
- 先ず皆さんはこの「ほのぼの会」で、生活の必要時間を除いた自由時間がどれくらい産みだせるか、挑戦をしてみてください。
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4.意識して「孤独・孤立」を避けないと次ぎの病気がやってくる。
- 障害があっても病院にいる間は、どこを見ても病人と障害者ばかりです。
- そして障害者が困らないように段差もないし皆さん優しく接してくれます。
ところが退院して家に戻ると障害者は「私一人」になります。
- 「私だけなぜみんなと違うのか」と、悩みも生まれます。
- 人に会って挨拶しても旨く伝わらないと次第に引き篭もりたくなります。
- すると一番避けたい「気分がうつ」になります。
- この状態を長く続けると脳の中に良くない蛋白質が生まれて「うつ病」になる危険が高まります。
- 私の経験で話しますと、退院した最初の一年間は、「ほのぼの会」の中でいろんなことをして、色んなことに「気づく」貴重な体験をさせてもらい、大切な時期だったと思っています。
- 例えば若い保健師さんが号令を掛けて体操をしますが、この「ほのぼの会」のように優しくはありません。
- 元気な号令にあわせて首の運動をすると痛くて堪らない。
- 「どうして?」と不思議に思いました。
- 日頃の生活では決して経験しない痛みなのです。
- よくよく考えると、私は痛む首筋を回す替わりに腰を回していたことに「気づいた」のです。
- 使わなかった首筋の筋肉は固くなっていたのに気がつかなかったのでした。
- 若しそのまま動かさずにいたら「廃用症候群」によって首は固くなって動かせなくなったかもしれません。
- 皆さんも体を一杯に動かして若し痛むところがあればその筋肉や関節を動かす体操をしてください。
- 放置しておくと動かなくなりますからこれは自分でチェックをしてください。
- 自分の体ですから大切に手入れをしてください。
この「ほのぼの会」時代では、構音障害や言語障害があると一般の人は半分も聞き取れません。
- でも、仲間の中だと安心して話せます。
- 仲間同士で相手の云うことを「何を言いたいのだろうか」と一生懸命に聴いてくれます。
- この「人の話を聴くーリスニング」と言う非常に大切な能力が身についてきます。
- 仲間の話を聴くことを通じて大切な能力が育つ事を知ってください。
- 言語障害のある方も勇気を出して仲間と話をしてください。
- 健常者とでは話が通じなくても仲間とは通じるのです。
- 私自身、今はこう喋っていますが、「ほのぼの会」の頃は構音障害のために挨拶のために立ち上がると足の指が曲がって「鷲爪」になり言うつもりの話も半分もいえませんでした。
- 「人の話を聴く」「人に話をする」ことは人間の社会生活の根本にある「コミュニケーション能力」と言う非常に基本的な能力なのです。
- この「ほのぼの会」活動は、退院した人が社会生活に復帰するための一番大切な施策だと信じています。
- 社会復帰するには対人関係の能力を修復しなければならないのです。
- 皆様方にもお願いしたいのは、できるだけ仲間で話し合う、他人の話を聴く、自分の考えを他人に分かるように話す工夫をする、こんなことを「ほのぼの会」の中でやれると良いなと思います。
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5.再発を防ぐ体制を整えようーみんなの体質と生活習慣の見直しで基礎疾患に対応しよう
- ここにいる皆さん方は、全てが脳卒中になった原因をお持ちになっています。
- 原因になる疾患―高血圧とか高脂血症とか糖尿病とかストレスが高いとかーが有ります。
- 皆さんはリハビリテーションのスタートで内科の主治医を訪ねて自分の発病の原因をチェックしてください。
「なぜ、私が脳卒中になったのか」、一般論だと「生活習慣」であったり「体質」であったりします。
- どんな生活習慣が良くなかったのか、どんな体質が良くなかったのか、これをはっきりさせることです。
- その上でどんな食事にするか、生活習慣を変えていくか。
- 私はタバコを毎日80本吸っていたし、糖尿病や肥満体質の管理を怠っており、夜の睡眠時間も不足していました。
- 仕事が中心の生活から自分の健康を取り戻す生活に切り替える必要が有りました。
- 皆さん方も是非、ご自分の生活も変えてください。
- この「ほのぼの会」の一年間の大きな仕事は過去の自分の生活習慣の中で改めるべきはこれだった、変えるべき体質は、この部分だったと、自分で変えるべき習慣や体質を自覚することです。
- ところで障害者になって以来、大勢の仲間がいましたが残念なことに再発して人生を終えた方も沢山あります。
- ガン研究所の河内副所長は「がん予防の10ヵ条」を作って広めましたからご存知の方もあると思います。
その河内先生が脳卒中の研究もされました。
- そして「脳卒中になる確率が最も高いのは、一度脳卒中を経験した人である」と、再発についての警告を発してくれました。
- 生活習慣や体質が変らなければいつでも発病する危険があることを指摘されたのです。
- 折角ここまで闘病の結果、回復してきた皆さんがこれから新しい人生のためにもご自分の生活習慣や体質に根ざした原因や危険因子を徹底的に取り除く取り組みをしてください。そして皆さん方は是非、サバイバーとして新しい人生を楽しんでください。
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6.家庭内の役割りを求めよう。「男子厨房に入らず」に囚われない。
- 退院した初期の段階で、一番私たちが困ったのは、自分の「役割り」が見えてこないことで、これは非常に辛いことでした。
- 社会的な役割は職業が果たしてくれていましたが、職業を外れると家庭の中にはこれまで「お父さんは会社に行く人」でした。それなのに会社には行かない。
- だから家庭の中には「役割り」がありません。
人間が生き生きと生きる為には「役割り」が必要なのです。是非、家族と相談して「役割り」を見つけてください。
- 家庭の中にご自分の仕事を作ってください。
- 出来れば奥さんが一生懸命にやっている家事の仕事を分けてもらってください。
- 「お父さんが私を手伝ってくれる」と奥さんが思ってくれるだけで、奥さんも更に元気を出して皆さんのために力を出してくれるのです。
- 家庭の中での信頼関係も増えるし「役割り」は機能回復にも良いことなので是非相談してください。
- 女性の場合は元来家事の仕事はやっていたので、出来るだけ多くの仕事を受け持つようにしてください。女性が家庭で受け持っている仕事にはリハビリの機能回復と言う点から見ると素晴らしい作業があります。
- 私のリハビリテーションの考え方は、多分に「人が生きる」と言う社会学の考え方に近いのかも知れません。こんなことをひとつ皆様の参考にしてください。
- 私自身、20年も前の時代に訓練しましたが、いまだに右手は使えません。
- 殊に75歳を過ぎると肉体の全体が老化の強い影響を受けます。
- 障害のある方は障害のリハビリと一緒に老化に伴う筋力の低下と向き合わねばなりません。
- 特に体操は「ハマちゃん体操」で構いませんから「筋力」を使うことを自分で実行してください。
以上

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